はじめての…

『はじめての』直木賞作家4人のはじめてをテーマにした物語 複数作家の短編集

『はじめて』それは、ちょっと切なくて、ほんの少し優しい…そんな誰もが経験する“人生の入口”のような瞬間をテーマに、4人の直木賞作家が物語を紡ぎ、音楽ユニットYOASOBIがその小説たちを音楽に変える…そんな夢のようなコラボレーション作品。

この作品集には、『はじめて人を好きになったときに読む物語』『はじめて家出をしたときに読む物語』『はじめて容疑者になったときに読む物語『はじめて告白したときに読む物語』という、4つの“はじめて”を描いた短編が収録されています。

『はじめての』直木賞作家4人が綴る”はじめて”の物語

どれも、日常の中にふと訪れる非日常のような瞬間。共感と戸惑いが交差する、それぞれの“はじめて”の物語が、まるで心に静かに染み入るように綴られています。

読み終えたあと、ひとつのテーマからこんなにも多様で深い世界が生まれるのかと、思わず胸が熱くなりました。全く違う4つのストーリーなのに、それぞれの結末にたどり着くまでの過程には、共通する“揺れる気持ち”が流れていて、心の奥底にしまっていた記憶や感情がそっと目を覚ますような感覚に包まれます(*´▽`*)

なかでも強く心に残ったのが、島本理生さんによる『私だけの所有者』という物語です。アンドロイドの僕と、その所有者である人間の関係を描いたこの作品。舞台は、とある国の保護施設。アンドロイドの僕が出会うのは、先生と呼ばれるMr.ナルセという人物。

無機質であるはずの“僕”の語りからあふれ出す感情は、読み進めるうちに次第に熱を帯びていき、最後には言葉にならない感動に包まれました(´Д`)

この物語はYOASOBIの楽曲『ミスター』としてもリリースされており、読んだあとに聴くと、あのとき感じた想いや情景が音となって胸に蘇ってきます。音楽が物語の続きを奏でてくれる…まさにYOASOBIならではの表現です。

YOASOBIといえば、アニメ『【推しの子】』の主題歌『アイドル』で世界的に注目を集めたことが記憶に新しいですが、少し前になりますが『ミスター』という曲もまた、物語とのリンクが巧みに仕上げられており、音楽と小説の融合によってさらに深い読後感が生まれていますので是非♪

◎掲載内容(もくじ)

  • 私だけの所有者(島本理生)
  • ユーレイ(辻村深月)
  • 色違いのトランプ(宮部みゆき)
  • ヒカリノタネ(森絵都)

『はじめて』という、誰もが心に持っている普遍的なテーマ…だけどそこから生まれる物語は、誰ひとりとして同じものはありません。あなたにとっての“はじめて”を思い出すきっかけになるかもしれない、この一冊…今すぐ手に取りたくなるほどに、やさしく、そして強く、心を揺さぶる短編集です。

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